2018.07.24更新

「血糖値スパイク」という言葉を知っていますか。検診やドックで空腹時血糖やHbA1cは正常であるにもかかわらず、食後血糖が140mg/dl以上に一時的にスパイク状に上がってしまう場合を言います。食後だけ一時的に上がるのみで、空腹時血糖はほぼ正常ですので検診では引っかからないことが多いです。しかし、血糖値スパイクの値の増加、頻度の増加につれて様々な合併症が起きやすくなることが分かって来ました。具体的には心筋梗塞、脳梗塞や認知症、さらには癌のリスクも高めるとされます。
血糖値スパイクは、食後1時間程での血糖を測ることで見つけることが可能です。出来るだけ早期に見つけ、無かった状態に速やかに戻すべく努力することが大事です。まだ糖尿病ではなく、以下が有効とされます。①食べる順番;まず野菜→肉魚から手をつけ、ご飯(炭水化物)は最後に食べる。②朝食を抜かない;食事を抜くとインスリン分泌が落ちるので次の食事で血糖値スパイクが起きやすくなる。定期的に一日三食食べるのが望ましい。③食後はちょこちょこ動け!;食後すぐに動くことで血液が手足の筋肉に奪われ、胃腸の動きが落ち糖の吸収が落ちるので血糖が上がりにくい。出来れば食後すぐに散歩する。このような小まめな心がけだけでも血糖値スパイクの程度、頻度を減らすことが出来、それは必ず効果があります。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

この時期は糖尿病が悪化している方がとても多い。その原因として、年末年始はクリスマス、お正月といったイベントが多いことに加え忘年会、新年会もある、加えてこの寒さ、外出の機会も減り汗をかきにくい、運動不足になりやすいことが挙げられます。その結果、体重が増えている方も多い。
体重が増えると2型糖尿病は悪化しやすい、同時に血圧、中性脂肪なども高くなりやすい。体重が増えれば内臓脂肪は増え(メタボは悪化し)インスリンの働きは落ち血糖は上がる。また運動不足で汗をかかなければ代謝は悪化し、やはりインスリンの働きは悪くなります。内臓脂肪が増え中性脂肪が上がれば、HDL(善玉)コレステロールが下がるので動脈硬化にもなりやすくなります。
この時期の対処法としては、やはり食事に気をつけ体重を増やさないように注意する、「緩やかな糖質制限」を心がけ糖質(炭水化物)を摂りすぎないようにする。体重を増やしにくい野菜、海藻類、大豆製品などは積極的に摂るべきでしょう。気温が低い時期は汗をかきにくいので、ウォーキングなどの運動を心がけ気持ちの良いレベルで汗をかくようにすることも有用です。
体重が少しでも減れば、糖尿病とともに血圧も安定し脂質異常も改善します。気分が良くなれば、治療に対するモチベーションも上がることでしょう。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 「糖質制限」がブームです。これまでの「カロリー制限」は、糖質(炭水化物)、蛋白質、脂質のバランスを保ちつつ全体のカロリーを抑えるものでしたが、 「糖質制限」は、糖質(炭水化物)のみを制限すればよいので実施が簡単で、糖質以外は比較的自由に食べて良いので空腹の辛さがなく悲壮感もありません。それでいて減量しやすく、糖尿病治療にも有効です。内臓脂肪減量(メタボ改善)には脂質制限よりも糖質制限が有効とされます。(注:蛋白制限が必要な腎臓病の方、脂質制限が必要な高脂血症の方では注意が必要。)
 しかし、糖質を(一食20g以下、一日50g以下に)極端に制限すると、ケトン体が増えてきます。近年ケトン体の良い効果も言われていますが、糖尿病ケトアシドーシス等の報告も以前あり現時点で安全と言えません。そこで、我々糖尿病専門医は一食の糖質を20g以下にしない「緩やかな糖質制限」をお勧めしています。
 実際のやりかたですが、一日の糖質摂取量を130g以下にする(日本人の一日糖質平均摂取量270gですので半分弱にする)。朝・昼・夕の各食の糖質を20〜40gに抑えれば、芋類以外のおかずは自由に食べられます。間食は糖質10gまでOKで、これで1日の糖質摂取量を70〜130gに抑えます。(当院では管理栄養士による指導も行っています。)

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 糖尿病合併症、なかでも心筋梗塞や脳梗塞のような動脈硬化性疾患を発症すると、その後の人生、健康寿命にも大きな影響を及ぼしかねません。これらを防止するには血糖管理だけでは不十分で、同時に高血圧、脂質異常症などもしっかり管理しないといけません。
 これら併発する代謝異常の一番の大元になると考えられるのが、内臓周囲に脂肪がたまった状態である「内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)」なのです。脂肪肝(脂肪性肝炎)もこの病態の一つです。内臓脂肪細胞が増えるとアディポサイトカインという悪玉ホルモンが多く分泌され、糖尿病、動脈硬化を発症、進展させやすい危険な状態になります。逆に内臓脂肪が減らせれば、すべてを一気に良くすることも可能です。
 それには何が有効か。カロリー制限がうまく出来なくても、糖質(炭水化物)制限だけでもより速くやせられることが分かっています。極端な糖質制限はお勧めしませんが、緩やかな糖質制限なら良いと思います。主食を摂りすぎている方はご飯の量を減らす(半分にする)、絶対に大盛りにしない、糖質の間食は控えるといった心がけも有効です。運動も有効で、ウォーキングのような「軽い有酸素運動」に「軽い筋トレのレジスタンス運動」を加えられればより効果的です。
 (注)糖質=炭水化物、と考えて下さい。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 最近、某週刊誌報道で糖尿病、高血圧、高脂血症等の薬のことが取り上げられ、心配になられた患者様から「続けても大丈夫か?」との質問を受けます。内容を見ると、ある薬の一部の悪い部分だけをことさら強調し報道しており、取材先から「ねつ造」との指摘もあがっているようです。これを読んで薬をやめたいと言う方もおられるようですが、勝手に中止した場合悪化し最悪命を脅かすこともありますので、まずは主治医とよく相談して下さい。
 基本的に薬は身体にとって異物であり毒になる可能性がある。効果とリスクを天秤にかけ効果がはるかに上回る場合に処方されます。特に生活習慣病の薬は長期に亘ってのみ続けなければならず副作用がゼロであることが理想ですが、必ずしもそうとは限りません。
 そこで基準になるのがエビデンス(EBM)といって、より多くの人に長期間投与して合併症がどうなったか、究極には死亡率を下げることが出来たかどうかという調査結果が重要になります。古い薬ほどエビデンスが揃っていますが、新しい薬ほど調査が現在進行中だったりします。医師は、こういったエビデンスに基いて個々の患者さんに最も適した治療を選ぶことになります。究極、薬は使わないに越したことはないのですが、使った方が将来の合併症や死亡率を下げると判断できる場合のみ処方します。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 近年、新しい糖尿病治療薬(DPP4阻害薬、SGLT2阻害薬)が次々に登場、またメトフォルミンも以前の3倍量まで使えるようになり、専門医でなくても薬で血糖をある程度下げることが可能になりました。また週一回の薬(注射または内服)も登場し一定の効果があります。一方、「糖質(炭水化物)制限」がブームですが、これを行えば血糖は下がるし体重も減りやすい。だったら、糖尿病専門医でなくても良いのでは?という話も出てきます。
 糖尿病治療の目標は、「糖尿病症状の改善、また糖尿病合併症の発症、増悪を防ぎ、健康な人と同じ程度の健康の質と寿命を全うすることである」とされます。しかしながら、現状では糖尿病があれば、無い方より平均寿命、健康寿命ともに平均で10歳前後短くなる傾向があります。
 糖尿病管理は血糖だけ良くすればいいのではなく、併発する高血圧、脂質異常症、過体重(内臓脂肪肥満、いわゆるメタボ)、脂肪肝(NASHになると肝硬変、肝臓癌へと進行します)等全てを注意しながら改善していく必要があります。また低血糖が多いと認知症になりやすいとされます。網膜症、腎症、動脈硬化など糖尿病合併症の早期発見、糖尿病患者さんの死因で一番多いとされる癌への注意など、糖尿病という病気の特性を熟知して包括的に診療を行っているのが糖尿病専門医だと思います。

 

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 「糖質制限」するだけで痩せられます。従来は痩せるためには「カロリー制限」で、肉も油も甘いものもバランスよく減らすよう言われました。
 それに対し、食事中の糖質だけ減らせば良いのが「糖質制限」です。「糖質」とは、炭水化物から食物繊維をひいたものです。食物繊維は悪さをしないので、糖質だけが悪者になります。蛋白や油もゆっくり血糖を上げますが、食後2、3時間以内に素早く血糖が上がるのは糖質だけです。食後血糖が上がればインスリンが出て脳や身体を動かすエネルギーになり、余った分は(内蔵)脂肪として蓄えられるので太ります。結局、肥満やメタボの主要な原因は糖質の過剰摂取ということになります。
 近年、米英の糖尿病学会でも糖質制限は減量や血糖管理に有効であり選択肢の一つとして認められました。我が国では専門学会の対応が遅れていて、非専門(医師、非医師)の方々の著作物がすでに氾濫している状況です。問題点は、糖質制限が極端な場合の安全性でしょう。また、腎臓病と妊婦の方にも糖質制限はすすめられません。
 我々一部の専門医が推奨するのは、糖質摂取量を1日70~130gとする「緩やかな糖質制限」です。イスラエルの大規模調査研究でも有効性、安全性が実証されています。当院では管理栄養士による指導も行います(予約制です)。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 シリーズ第⑱回で「メトフォルミン(メトグルコ)」について述べました。この薬には糖尿病治療薬としての効果以外に、癌発症抑制効果の報告が数多くあり、さらなる調査が現在進行中です。
 今回は、何とメトフォルミンの老化防止(アンチエイジング)薬としての効果を調べる臨床試験が米国で行われるらしい。基礎研究では、研究者がこの薬を回虫に投与したら加齢が遅れ寿命が延びた、マウスに投与したら寿命が40%延び、骨も丈夫になった。原因分析の結果、生物の細胞を頑丈にし寿命を延ばすとされる酵素を細胞内に増やす効果がメトフォルミンに確認されたとのことでした。
 米食品医薬品局(FDA)が認可した臨床試験が今年から始まります。研究者たちは、メトフォルミン投薬により人間の老化を約20年遅らせることが可能と言い、「100歳の人は寿命が120歳まで延び、70歳の人は50歳の若さと健康を手に入れられる。アルツハイマー病の進行も止められる。」などと主張しています。正直本当かなという気もしますが、まずは結果を待ちたいと思います。
 全ての癌が克服出来たとしても人間の平均寿命は3年延びる程度とのことですが、老化防止薬が現実のものとなれば人類に与える恩恵は計り知れないことは間違いありません。

 

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 糖尿病性腎症は糖尿病患者さんの3~4割に合併するとされますが、大半は自覚症状がありません。しかし、蛋白尿が出るようになり腎機能の低下が始まると短期間で透析へ至ることから早期発見が重要です。
 典型的には、第1期(腎症前期)→2期(早期腎症期)→3期(顕性腎症期)→4期(腎不全期)→5期(透析療法期)と進むことが多いです。
 正常である第1期から2期に入ったかどうかを調べる検査が尿中アルブミンの検査です。これが30(mg/g・Cr)を超えると異常と診断され(微量アルブミン尿といいます)腎症2期となります。さらに増加し300(mg/g・Cr)以上で3期へ移行し常時蛋白尿を認める状態となります。eGFR(血液中のCrやシスタチンCから計算)で示される腎機能が30未満に低下すれば4期となります。
 尿中アルブミン量が増えると腎不全へ進行しやすくなるだけでなく、心血管疾患や死亡率が増えるとされます。一方、第2期では、血糖、血圧、脂質などをしっかり管理する事でアルブミン尿が減少し正常に戻る事も少なくなく(早期腎症の寛解)、同時に心血管疾患の発症リスクも下がるとされますので、この時期での包括的管理はとても重要になります。
 第3期以降では寛解は難しくなり主に進行を止める治療になります。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 近年糖尿病治療薬は、とても多くの種類が使用可能となっています。血糖を下げ出来るだけ正常に近づけることで、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害といった三大合併症)が起きない(または進行しない)ことは明らかになっています。しかし、同じく重大な合併症である大血管症(心筋梗塞、脳梗塞のような動脈硬化)が抑えられるかどうかははっきりしていません。これには高血糖以外の脂質異常や高血圧、喫煙、肥満など多数の要因が関係するので、血糖だけの改善では不十分だからだと思います。
 糖尿病の薬には体重を増やすもの、減らすもの、変わらないものがあります。血糖が下がっても体重が増えてしまうと、糖尿病以外の代謝異常が改善せず大血管症を予防できないので、体重が減る薬が最も望ましいと言えます。これまで体重が減る糖尿病治療薬はメトフォルミン(メトグルコ)だけでした。これを内服する事で死亡率や心筋梗塞が減少することが明らかにされています。他方、癌の発症進行を抑えるという報告もいくつもみられます。すでに欧米では2型糖尿病治療の第一選択薬となっていますが、我が国では薬価が大変安いことも魅力です。注意点としては、腎機能が悪い場合は乳酸アシドーシスという重篤な合併症をおこす危険があるので投与しないこと、75歳以上の高齢者には原則新規投与をしないこと、等があります。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

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