2018.07.24更新

 最近、某週刊誌報道で糖尿病、高血圧、高脂血症等の薬のことが取り上げられ、心配になられた患者様から「続けても大丈夫か?」との質問を受けます。内容を見ると、ある薬の一部の悪い部分だけをことさら強調し報道しており、取材先から「ねつ造」との指摘もあがっているようです。これを読んで薬をやめたいと言う方もおられるようですが、勝手に中止した場合悪化し最悪命を脅かすこともありますので、まずは主治医とよく相談して下さい。
 基本的に薬は身体にとって異物であり毒になる可能性がある。効果とリスクを天秤にかけ効果がはるかに上回る場合に処方されます。特に生活習慣病の薬は長期に亘ってのみ続けなければならず副作用がゼロであることが理想ですが、必ずしもそうとは限りません。
 そこで基準になるのがエビデンス(EBM)といって、より多くの人に長期間投与して合併症がどうなったか、究極には死亡率を下げることが出来たかどうかという調査結果が重要になります。古い薬ほどエビデンスが揃っていますが、新しい薬ほど調査が現在進行中だったりします。医師は、こういったエビデンスに基いて個々の患者さんに最も適した治療を選ぶことになります。究極、薬は使わないに越したことはないのですが、使った方が将来の合併症や死亡率を下げると判断できる場合のみ処方します。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 近年、新しい糖尿病治療薬(DPP4阻害薬、SGLT2阻害薬)が次々に登場、またメトフォルミンも以前の3倍量まで使えるようになり、専門医でなくても薬で血糖をある程度下げることが可能になりました。また週一回の薬(注射または内服)も登場し一定の効果があります。一方、「糖質(炭水化物)制限」がブームですが、これを行えば血糖は下がるし体重も減りやすい。だったら、糖尿病専門医でなくても良いのでは?という話も出てきます。
 糖尿病治療の目標は、「糖尿病症状の改善、また糖尿病合併症の発症、増悪を防ぎ、健康な人と同じ程度の健康の質と寿命を全うすることである」とされます。しかしながら、現状では糖尿病があれば、無い方より平均寿命、健康寿命ともに平均で10歳前後短くなる傾向があります。
 糖尿病管理は血糖だけ良くすればいいのではなく、併発する高血圧、脂質異常症、過体重(内臓脂肪肥満、いわゆるメタボ)、脂肪肝(NASHになると肝硬変、肝臓癌へと進行します)等全てを注意しながら改善していく必要があります。また低血糖が多いと認知症になりやすいとされます。網膜症、腎症、動脈硬化など糖尿病合併症の早期発見、糖尿病患者さんの死因で一番多いとされる癌への注意など、糖尿病という病気の特性を熟知して包括的に診療を行っているのが糖尿病専門医だと思います。

 

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 「糖質制限」するだけで痩せられます。従来は痩せるためには「カロリー制限」で、肉も油も甘いものもバランスよく減らすよう言われました。
 それに対し、食事中の糖質だけ減らせば良いのが「糖質制限」です。「糖質」とは、炭水化物から食物繊維をひいたものです。食物繊維は悪さをしないので、糖質だけが悪者になります。蛋白や油もゆっくり血糖を上げますが、食後2、3時間以内に素早く血糖が上がるのは糖質だけです。食後血糖が上がればインスリンが出て脳や身体を動かすエネルギーになり、余った分は(内蔵)脂肪として蓄えられるので太ります。結局、肥満やメタボの主要な原因は糖質の過剰摂取ということになります。
 近年、米英の糖尿病学会でも糖質制限は減量や血糖管理に有効であり選択肢の一つとして認められました。我が国では専門学会の対応が遅れていて、非専門(医師、非医師)の方々の著作物がすでに氾濫している状況です。問題点は、糖質制限が極端な場合の安全性でしょう。また、腎臓病と妊婦の方にも糖質制限はすすめられません。
 我々一部の専門医が推奨するのは、糖質摂取量を1日70~130gとする「緩やかな糖質制限」です。イスラエルの大規模調査研究でも有効性、安全性が実証されています。当院では管理栄養士による指導も行います(予約制です)。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 シリーズ第⑱回で「メトフォルミン(メトグルコ)」について述べました。この薬には糖尿病治療薬としての効果以外に、癌発症抑制効果の報告が数多くあり、さらなる調査が現在進行中です。
 今回は、何とメトフォルミンの老化防止(アンチエイジング)薬としての効果を調べる臨床試験が米国で行われるらしい。基礎研究では、研究者がこの薬を回虫に投与したら加齢が遅れ寿命が延びた、マウスに投与したら寿命が40%延び、骨も丈夫になった。原因分析の結果、生物の細胞を頑丈にし寿命を延ばすとされる酵素を細胞内に増やす効果がメトフォルミンに確認されたとのことでした。
 米食品医薬品局(FDA)が認可した臨床試験が今年から始まります。研究者たちは、メトフォルミン投薬により人間の老化を約20年遅らせることが可能と言い、「100歳の人は寿命が120歳まで延び、70歳の人は50歳の若さと健康を手に入れられる。アルツハイマー病の進行も止められる。」などと主張しています。正直本当かなという気もしますが、まずは結果を待ちたいと思います。
 全ての癌が克服出来たとしても人間の平均寿命は3年延びる程度とのことですが、老化防止薬が現実のものとなれば人類に与える恩恵は計り知れないことは間違いありません。

 

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 糖尿病性腎症は糖尿病患者さんの3~4割に合併するとされますが、大半は自覚症状がありません。しかし、蛋白尿が出るようになり腎機能の低下が始まると短期間で透析へ至ることから早期発見が重要です。
 典型的には、第1期(腎症前期)→2期(早期腎症期)→3期(顕性腎症期)→4期(腎不全期)→5期(透析療法期)と進むことが多いです。
 正常である第1期から2期に入ったかどうかを調べる検査が尿中アルブミンの検査です。これが30(mg/g・Cr)を超えると異常と診断され(微量アルブミン尿といいます)腎症2期となります。さらに増加し300(mg/g・Cr)以上で3期へ移行し常時蛋白尿を認める状態となります。eGFR(血液中のCrやシスタチンCから計算)で示される腎機能が30未満に低下すれば4期となります。
 尿中アルブミン量が増えると腎不全へ進行しやすくなるだけでなく、心血管疾患や死亡率が増えるとされます。一方、第2期では、血糖、血圧、脂質などをしっかり管理する事でアルブミン尿が減少し正常に戻る事も少なくなく(早期腎症の寛解)、同時に心血管疾患の発症リスクも下がるとされますので、この時期での包括的管理はとても重要になります。
 第3期以降では寛解は難しくなり主に進行を止める治療になります。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 近年糖尿病治療薬は、とても多くの種類が使用可能となっています。血糖を下げ出来るだけ正常に近づけることで、細小血管症(網膜症、腎症、神経障害といった三大合併症)が起きない(または進行しない)ことは明らかになっています。しかし、同じく重大な合併症である大血管症(心筋梗塞、脳梗塞のような動脈硬化)が抑えられるかどうかははっきりしていません。これには高血糖以外の脂質異常や高血圧、喫煙、肥満など多数の要因が関係するので、血糖だけの改善では不十分だからだと思います。
 糖尿病の薬には体重を増やすもの、減らすもの、変わらないものがあります。血糖が下がっても体重が増えてしまうと、糖尿病以外の代謝異常が改善せず大血管症を予防できないので、体重が減る薬が最も望ましいと言えます。これまで体重が減る糖尿病治療薬はメトフォルミン(メトグルコ)だけでした。これを内服する事で死亡率や心筋梗塞が減少することが明らかにされています。他方、癌の発症進行を抑えるという報告もいくつもみられます。すでに欧米では2型糖尿病治療の第一選択薬となっていますが、我が国では薬価が大変安いことも魅力です。注意点としては、腎機能が悪い場合は乳酸アシドーシスという重篤な合併症をおこす危険があるので投与しないこと、75歳以上の高齢者には原則新規投与をしないこと、等があります。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

 いよいよ梅雨も明け暑くなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。この時期、熱中症による救急搬送人数は毎年4万人以上に上ります。熱中症とは、高温、多湿、強い日射等の環境下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機構が働かなくなったりして発症する障害の総称です。
 特に糖尿病の方は、尿量が多くなれば脱水を起こしやすく、自律神経障害が合併すれば発汗機能が低下し体温が上がりやすくなるので高リスクと言えます。ご高齢の方も脱水の自覚症状を感じにくくなっていることがあり注意が必要です。
 炎天下だけでなく熱のこもった室内でも起こりえます。死に至る病であることを自覚して早めに対処しましょう。こまめに室内の温度管理をする、熱のこもる服装を避ける、暑さを「我慢しない」ことも大切です。まずは水分摂取が必要ですが、スポーツドリンクは糖が意外に多いので、水やお茶をお勧めします。でも摂りすぎた場合、低ナトリウム血症になることがあるので、塩分の補給も必要になります。少量の塩を摂る、経口補水液(OS-1など:スポーツドリンクと比べ塩分は2倍、糖は半分)を飲むという方法もあります。もちろんこの状態でビールなどは厳禁です。水分・塩分が摂れない場合、補給できても症状が改善しない場合は、速やかに救急外来を受診してください。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

2型糖尿病は肥満と関係があると言われています。日本では年々肥満が増え、糖尿病患者も昨年で950万人と増加傾向にあります。欧米人に比べ日本人はインスリン分泌能力が弱いため、軽度の肥満でも糖尿病を発症しやすいと言われます。軽度の肥満でも内臓脂肪は過剰に蓄積しやすいため、脂肪組織から分泌される生体調節因子(アディポサイトカインと言います)の産生・分泌異常を生じ、血糖上昇のみならず高血圧、脂質代謝異常の原因となりメタボリックシンドロームを発症させ、動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞など)の原因となります。肥満は他にも高尿酸血症、脂肪性肝炎(NASHなど)、睡眠時無呼吸症候群、肥満関連腎症、骨関節疾患、一部のがん(男性;大腸癌、前立腺癌、女性;乳癌、子宮癌)の原因にもなりえます。

減量することにより糖尿病が良くなるだけでなく、血圧、脂質異常も改善しやすいので、一石三鳥以上の効果があります。尿酸や脂肪肝(肝機能異常)も改善しやすくなります。しかし、歳をとると同じような食事・運動療法でもやせにくくなってきます。これは、加齢とともに代謝が落ちる、筋肉量が減ることに関係があります。それまで以上にカロリー制限、運動療法に励むことが求められます。

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

糖尿病の食事療法では、まず総カロリーを減らすことを求められます。太りすぎている方の場合は痩せるだけで糖尿病が良くなる事が少なくないし、さらに血圧も下がり脂質代謝異常も改善しやすくなります。一方、痩せている方ではインスリン分泌が少ないことが多く、それ以上に痩せるメリットは無いとも言えますが、身体に入れるカロリーを抑えることで少なめのインスリン分泌でも追いつくようになり血糖値が改善します。

食後2、3時間以内に血糖が上がるのは炭水化物(糖質)だけですので、これだけ摂らなければ良いのだ、という情報が溢れています。確かに食後血糖は上がらなくなるので、見かけ上の糖尿病は改善します。しかし糖質を減らせば、その分脂質、タンパク質摂取が相対的に増えてきます。その結果、脂質代謝異常をきたしやすく、動脈硬化が心配になります。蛋白質の摂取過剰が腎臓に負担をかけてしまう場合もあります。ですので、糖質だけ摂らなければ後は何を食べても構わない、というような極端なやり方には大きなリスクが伴うことを自覚すべきです。

糖質を摂りすぎている人の糖質制限、痩せるための糖質制限は確かに有効でしょう。「極端な糖質制限」は避け、状況を見極めた上での「緩やかな糖質制限」なら比較的安全に良い結果を得られるのではないでしょうか。(つづく)

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

2018.07.24更新

新年あけましておめでとうございます。今の時期はどうしても糖尿病コントロールが悪化しやすい傾向があります。お正月後ということもありますし、年末年始は飲食の機会も多く、食生活も乱れがちです。加えて、この寒さ。外に出るのがおっくうになり、運動量も減りがちです。また、気温が下がるだけでも汗をかく機会が減り代謝も低下する傾向があり、インスリンの効きが悪くなり血糖が上がりやすくなります。国立衛生研究所の調査によると、年末年始は多くの方が体重を1kg以上増やすとのことです。

対策としては、会食やパーティには空腹の状態で行かないようにする。野菜サラダや低糖質の全粒粉パンなどを食べてから行くと食欲をコントロールしやすくなります。寒くても運動を減らさない。暖かい格好をする。また暖かい時間帯ならウォーキングもしやすいかもしれません。アルコールは色々と食事療法を乱しやすく、薬物治療中の方は低血糖の危険を高める恐れがあります。飲むなら上限を決めたいところです。「節度ある適度な飲酒」の上限とは、純アルコール換算で一日20g程度に相当し、これはビールなら中瓶1本(500mL)、日本酒なら1合(180mL)程度に相当します。

 

投稿者: わたなべ糖内科クリニック

前へ 前へ

ご予約・お問い合わせはお気軽に

ご来院されるすべての患者さんが相談しやすい雰囲気づくりを心がけ、

適切なアドバイスを行うように努めております。

  • 047-306-7570.png
  • アクセス・診療時間
  • 047-306-7570_sp.png
  • アクセス・診療時間

※診察は予約制です。電話予約の上ご来院ください。